まだ1話・2話を読んでいない方は、1話・2話を読んでから本記事の2話を読んでいただけると、より楽しめるのでぜひ読んでみてください!
・日本の無名サッカー選手が【ヨーロッパ1部リーグと契約するまでのストーリー】1話
・日本の無名サッカー選手が【ヨーロッパ1部リーグと契約するまでのストーリー】2話
ここで一度、前回までのおさらいをしましょう。
日本でプロサッカー選手になれず、単身ヨーロッパのモンテネグロへトライアウトを受けに渡欧。
日本との文化の違いやサッカーの違いに慣れるのに必死だったが、なんとかモンテネグロ1部リーグのチームと契約できました。
しかし、契約してから言葉の壁が立ちはだかり、監督やチームメイトと話すことができない状況が続いたのです。
チームメイトのTさんに語学勉強を手伝ってもらいながら、なんとか話せるようになったというのが、前回までのお話になります。

試合に出れない状況が続く
1月のチームと契約し月末に公式戦がスタートしました。
公式戦前日の練習終わりに、監督がミーティングを開きました。
明日の公式戦のメンバー発表です。
結果は、
スターティングメンバーどころか、ベンチメンバーにも入ることができませんでした。
今までのサッカー人生で、メンバー外になったことがなかったので、海外サッカーの洗礼を浴びた習慣です。
そして、試合当日。
大勢のファン・サポーターがスタンドから声を響かせ、スタジアムは熱狂の渦に。
中には、発煙等をもち乱闘騒ぎになるファンもいました。
チームメイトは、この最高の環境でサッカーをしているのに対し、僕はスタジアムの観客席から試合を眺めていました。
正直、今まで生きてきた中で当時が一番苦しく悔しい習慣でした。
初戦は、3vs1で自チームの勝ち。
勝ったことは良いことですが、素直に喜ぶことはできません。
それから1ヶ月。
毎週試合があるにもかかわらず、僕はずっとメンバー外だったのです。
チームメイトは仲間でもありますが、プロの世界では1つのポジションという椅子を取り合うライバル。
そのライバルに勝てない自分に苛立ち挫折していく一方でした。
ウエイトトレーニング・食生活の見直しを徹底
今の自分の生れている立場は、言わずもがなチームの底辺。
この状況をまず受け止め、這い上がる術を探しました。
まず、当たり負けしない体を作るためにウェイトトレーニングから始めました。
身長180cm、体重74キロと日本だと大きい方だったのですが、モンテネグロの中だと決して大きいサイズではありません。
190cm代の巨体がゴロゴロいる中で、生き残るためにはそれに対応できる体作りから始めようと思ったのです。
練習は、午前9時〜10時半までで終わるためその後にクラブハウス内のジムで、1時間ほどのウエイトトレーニング。

ウエイトトレーニングに加え、食事に関しても意識的に変えていきました。
この食事に関してなんですが、お肉を一切摂らず魚や野菜だけの生活にしました。
というのも、メディカルチェック(医学的検査)でお肉からの栄養素よりも豆や魚からの栄養素の方が僕の体に合っているという検査結果が出たので、このような食事改革に至ったのです。
最初は、半信半疑でやっていたのですが、効果はすぐに実感できました。
まず、疲労の蓄積が軽減されトレーニング中のパフォーマンスの向上に繋がりました。
そして、魚や豆からのタンパク質摂取により筋肉も以前より増え体重は+3キロ(体脂肪減)にまで増え当たり負けしない体作りに成功したのです。

練習でのパフォーマンスも良くなってきていることは自分だけでなく、監督からも少しずつ褒められ評価されていくようになりました。
公式戦デビュー
公式戦がスタートして2ヶ月。
試合前日の練習後のミーティングで、明日の試合のメンバー発表を監督が始めました。
次々にメンバーが呼ばれ残り1人。
監督が、僕の名を言ったのです。
期待はしていましたが、呼ばれた瞬間は信じられず頭が真っ白になっていました。
チームメイトからも祝福され、やっとスタートラインに立てたのです。
挫折を味わい、自分なりにできることはやり続けた結果、ヨーロッパ1部リーグのメンバー入りするところまで上り詰めました。
もちろん満足はしていません。
このチャンスを掴まないと、またメンバー外生活に戻ってしまうのです。
試合当日。
今日の試合は、アウェーゲームで相手チームのスタジアムで行います。
スタジアムにつきロッカールームで準備をして、ウォーミングアップでピッチに入った瞬間。
「ブゥーーー!!!」
相手サポーターからのブーイング。
ピッチ上で味わうブーイングは、選手にとってこれほどプレッシャーになるものなのかと思い知らされました。
そしてついに、
「ピッーーー!!!」
ホイッスルと共に僕のプロデビュー戦がスタートしました。

果たして結果は?
サッカーの試合は、90分間。
長いようで意外とあっという間なんです。
現在のスコアは0-0の引き分け。
試合開始から、もうすぐ90分経とうとしている時でした。
相手ゴール前で僕の目の前にボールが転がってきました。
僕は、これが最後のチャンスだと思い右足を振り抜きシュート。
ボールは、ゴール右上隅にいったのですがゴールキーパーのセーブで阻止されてしまいました。
しかし、ゴールキーパーが弾いたボールを味方がさらにシュートをして得点。
1-0で試合終了。
デビュー戦を勝利で締めくくれたことはよかったですが、僕のゴールで勝ちたかったのが本音です。
試合後、ロッカールームに戻ると勝利に歓喜するチームメイトたち。
一方で、点を取れなかったことを悔やんでいた自分に対して、チームメイトが励ましてくれたりしてくれたおかげでデビュー戦を無事終えることができました。
デビュー戦を終えて
デビュー戦を勝利という形で終え、まずまずのスタートを切ることができました。
なかなか試合に出られない状況が続く中で、何かを変えなければいけないと思い、ウエイトトレーニングの強化と食生活の見直しをしました。
きっと、海外に来なかったらこんなにがむしゃらになってサッカーに必死になることはなかったでしょう。
日本にいたら、試合に出られない状況だったとしても、言い訳を探して自分を正当化する自分がいました。
本当に海外に来て良かったと心から思えた瞬間でした。
やっとサッカー選手として追い風に乗ってきたと思っていたら、世界中をパニックに陥れた「新型コロナウィルス」に直面します。
次回、コロナに直面し海外ではどのような生活が待っていたのか、サッカーはどうなったのかを解説していきたいと思います。
