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日本の無名サッカー選手が【ヨーロッパ1部リーグと契約するまでのストーリー】1話
さて、前回までの内容をさらっとおさらいしましょう。
プロサッカー選手を目指して、日本からヨーロッパのモンテネグロにトライアウトを受けにきた。
初の海外ということもあって、生活のギャップについていくのに必死で、正直サッカーどころではなかったです。。。
そして、トライアウトを受けモンテネグロ1部リーグのチームに声をかけていただきなんとか契約!
ここからは、プロサッカー選手となった後のことを綴っていきたいと思います。

言葉の壁
チームと契約を交わして1週間、僕はチームのベンチ組での練習参加から始まりました。
ベンチ組とはいえ、みんな1部リーグを生き残ってるプロなので練習のレベルも高い。
この時の僕は、言葉を話せるどころか言っている内容を聞き取ることすらできていなかったのです。
そのため、チームメイトが現地の言葉でコミュニケーションや指示を言い合っているのに対して、僕は何も聞き取れずただただ受け流していました。
当然、指示通りの動きはできずチームメイトからの信頼も得られないまま練習は終了。
モンテネグロは、英語ではなく「モンテネグロ語」という母国語があり、初めて聞くような言葉ばかりで、適応するのがとても難しかったです。
かといって、通訳さんがいるわけでもないので、自分で言葉を覚えるほか手段はありません。

監督の指示を聞き取れず苦戦する
僕が所属しているチームの監督は、イギリス人の監督で英語も話せてモンテネグロも話せるような方でした。
監督からしたら、言葉を覚えることは世界でサッカーをやっていく上で当たり前のスキルと思われていたことでしょう。
チームと契約した当初は、練習中に監督から指示をもらうことが多かったのですが、日に日に僕に対する指示が減っていったのです。
このままだとダメだと感じ、僕は練習後監督の元へ向かいました。
「僕はどうしたらいい?」と簡単な英語を用意して尋ねました。
すると監督は、
「言葉を理解できないのに指示を出しても意味がないからだ」
と英語でズバッと言われたのです。
かなりショックでしたが、監督の言っていることは何一つ間違っていません。
何も勉強せずに勢いだけでモンテネグロへ来て、当たり前の壁にぶち当たったのです。

Tさんに語学勉強を頼み猛勉強
僕が所属しているチームには、もう一人日本人がいてその人はTさんといいます。
Tさんは、僕よりも前にモンテネグロにトライアウトに来て契約を交わした選手です。
彼は、英語もモンテネグロ語も両方話すことができ、監督やチームメイトと難なく話すことができていました。
言葉の壁に苦戦している僕は、彼に頼ろうと思ったのです!
まず、どうやって聞いたこともないモンテネグロを覚えて話せるようになったのかを聞いてみました。
すると彼は、「とにかく人の会話に耳を向けた」と言ったのです。
彼は、スーパーやショッピングモールなど、時間があれば足を運びそこでの会話、やり取りを聞いてよく使われる単語などを耳で覚えていたそうです。
最初は全く単語を聞き取ることができなかったみたいですが、続けていくうちに、聞き覚えのある単語がよく出てくるんだそう。
その単語を、ネット日本語に翻訳して覚えていったというのです。
当時のTさんは、周りに日本人がいなかったためそのような方法で自力で勉強した聞き、僕は驚きと同時に自分の情けなさを感じました。
Tさんは、僕の気持ちもわかると言ってくれ、練習後に勉強に付き合ってくれるようになったのです。

サッカー×語学勉強の両立
それから僕は、毎日モンテネグロ語の勉強に励むようになりました。
中学、高校と英語は授業で勉強はしていたのですが、話したいと思ったことも興味もなかったのでサボっていたのですが、今の僕は覚えてたくて仕方がないほど語学勉強に飢えていました。
不思議と、自ら語学勉強をしていくと、学校で習う英語の勉強よりもはるかに覚えるのが早かったのです。
まずは、日常会話よりも先にサッカー用語を覚えることにしました。
1週間ほどで、サッカー中に必要な単語(ボール:ロプタ,ドゥルガストラーナ:オーバーラップ,右:デスノ,左:リェボ)などを覚えました。
その後に、日常会話で使う言葉をTさんに教えてもらい、覚えたらその単語を使って実際にスーパーやカフェに行って定員さんと話すアウトプット作業を繰り返していきました。
以前まで、コーヒーを頼むときは、メニュー表に指を刺して定員さんに伝えていましたが、今では言葉だけで注文できるようになったり、スーパーでお肉を買う時に、グラム数を注文できたりと、少しずつ前の時よりも話せるようになっていきました。
言葉を少しずつ聞き取れるようになる
Tさんに語学勉強を教えてもらってから約1ヶ月。
練習中、チームメイトが会話していている時に、自分もその輪の中にいました。
今までは、輪の中にいるだけで会話に入るようなことは一度もなかったのですが、その時の会話が、なんとなく聞き取れて理解することができたのです。
僕も、覚えたてのカタコトなモンテネグロ語で会話に入ると、チームメイトが驚いた表情をして僕を見つめてきました。
僕は戸惑ったのですが、チームメイトは驚きながらも僕と会話を続けてくれたのです。
僕と対等に会話してくれることがこれほど嬉しいとは思ってもみませんでした。
会話や指示を聞き取れるようになったおかげで、練習のプレーの質も明らかに良くなっていきました。
それからは、Tさんとの勉強もなくなり、自分で試行錯誤しながら勉強するようになって、もっとチームメイトと話せるようになりたいと思い勉強に励みました。
通訳なしで監督と話せるようにまで
チームメイトと話せるようにはなりましたが、あれから監督と2人で話したことはありません。
そこで、練習後に監督に練習のフィードバックをもらおうと思い監督室にいきました。
以前監督と2人で話してから2ヶ月、あれから監督はどのように思っているのか聞いてみたく、英語は一切使わず話てみました。
僕が一方的に、練習でどのようにしたらいいのか、監督の求めていることはなんなのかを話したところ監督は、
「プレーも良くなってきてるし、言葉を理解してくれて満足している。続けてくれ」
と言われ、監督から握手を求められました。

サッカーは世界共通のスポーツだから、に言葉なんて必要ないと思いっていました。
言葉を理解しなくてもサッカーはできますが、コミュニケーションの手段が減りチームワークがなくなります。
サッカーは個人スポーツでなく、団体スポーツなので言葉の重要さをこの時痛感したのです。
監督と話してからは、練習中監督から僕に対する指示が出るようになったり、僕からチームメイトに指示を出したり、また練習後チームメイトと食事に出掛けて楽しんだりするようになったりと、以前より明らかにいい方向に進み出しました。
今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。
3話では、言葉の壁は乗り越えたが、試合になかなか出られない状況が続き、その壁を乗り越えられたエピソードを紹介していけたらなと思います。