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日本の無名サッカー選手が【ヨーロッパ1部リーグと契約するまでのストーリー】5話

2023年7月12日

まだ1話・2話・3話・4話を読んでいない方は、先にそちらを読んでから本記事の5話を読んでいただけると、より楽しめるのでぜひ読んでみてください!

・日本の無名サッカー選手が【ヨーロッパ1部リーグと契約するまでのストーリー】1話

・日本の無名サッカー選手が【ヨーロッパ1部リーグと契約するまでのストーリー】2話

・日本の無名サッカー選手が【ヨーロッパ1部リーグと契約するまでのストーリー】3話

・日本の無名サッカー選手が【ヨーロッパ1部リーグと契約するまでのストーリー】4話

ここで一度、前回までのおさらいをしましょう。

モンテネグロ1部リーグのチームと契約できたたものの、契約してから言葉の壁が立ちはだかり挫折。

必死に語学勉強や食事改革・肉体改造をしてなんとかプロデビューを果たした。

プロデビュー後、コロナが世界中で大流行し試合が一時中断という事態に。

追い打ちをかけるように、生まれて初めて人種差別の被害に遭うなどさまざまな経験をしましたが、チームメイトに助けられました。

ショウ
ぜひ1話から読み返してみてください!

コロナで試合中断から2ヶ月が経って試合再開が決定

コロナの影響で試合が一時中断という状況が続く中、僕は試合がいつ再開してもいいように、自身で体を動かしていました。

朝起きて1時間のランニングで身体を起こし、自宅の庭でウェイトトレーニング、お昼ご飯を食べた後山の坂道を何本も走り込むなど、丸一日サッカーのためだけに時間を費やしていました。

思い返してみれば、練習がある日よりも忙しくハードな日常だったと思います。

そんな生活を続けていくこと2ヶ月。。。

モンテネグロのサッカー協会が、リーグ戦の再会を発表しました。

ようやく試合ができる喜びと、元通りの日常が少しずつ戻ってくる喜びが入り混じっていたのを覚えています。

ショウ
当たり前の日常がどれほど幸せなことか痛感した期間でした

チーム活動の再会

試合再会の発表の翌日、チーム活動も再開しました。

まず、驚いたのが久しぶりにあるチームメイトの姿でした。

意識の高い選手は、身体が絞れていてコロナ前よりも引き締まった身体作りに。

一方で、意識の低い選手は、リーグ戦断中で3kgほど太っていたりと意識の差がはっきりしていました。

練習前のミーティングで、監督からこのようなことを言われました。

「リーグ戦は再開するが、観客は入らない状態での再開となる」

スタジアムに収容できる観客数は2万人。

リーグ上位対決となると毎回満員になり、スタジアムが揺れるほど熱狂するのですが、その熱狂すらも感じることができなくなりました。

選手にとってサポーターは、思っている以上に元気やパワーをくれる存在なので、正直相当寂しい試合になってしまうのではないかと思ってしまいます。

このこと告げられた時のチームメイトの表情も、落ち込む選手から文句を言う選手まで出てきたりとかなりピリついていました。

ショウ
選手にとってサポーターは、それほど大きな存在だと思いました

リーグ戦再会

練習が再会して2週間が経過して迎えた日曜日。

リーグ戦再会の日です。

この日自分はスターティングメンバーとして試合に出場しました。

無観客試合であるため、ピッチからの眺めはどこかもの寂しい感じが。。。

対戦相手は、リーグ順位が1つ下のチームということもありとても白熱する試合になりました。

中断期間中も、自身で身体を動かしていたこともあったので、体力切れで走れなくなるようなことはありませんでした。

一方で、チームメイトはなかなか走れなかったりして何度かピンチを迎えてしまう場面も。

試合が始まってから90分後、ホイッスルが鳴り試合終了。

スコアは3-1で勝利。

リーグ戦再会ということもあり、両チーム勝って再会をしたいと思っていた試合なので、この勝利はとても価値のあるものでした。

急な監督交代

リーグ戦再会試合を勝利で飾ることができ、翌日はOFFでした。

この日は、久しぶりにチーム全員でホームパーティーをする日で、試合の祝勝会も兼ねて行いました。

選手だけでなく、スタッフや監督も来て盛り上がる一日になりそうだと思っていましたが、思わぬことを告げられまいた。

乾杯をして、少し時間が経った時に監督がみんなの前に立った時でした。

「今日でみんなとはお別れだ。最高に充実した日々をありがとう」

監督の交代が告げられたのです。

自分にとっては、プロになって最初に指導してくれた監督であり、試合に出られない時でも気にかけてくれた恩師のような存在。

そんな監督がいなくなると聞いた瞬間は、悲しい気持ちと同時に、新監督のもとで評価されるのかという焦りもありました。

監督交代の理由は、コロナの影響でチームの経営難が一番の問題で監督を切るという選択をしたといいます。

プロの世界は、監督も選手も全てチームのオーナーが雇って成り立っています。

オーナーの言うことは絶対なので、僕らから口出しするなんてこともできません。

楽しみにしていたホームパーティーも、後半の方は監督がいなくなる悲しみと、この先の焦りであまり楽しめませんでした。

OFFが明け、再び練習がスタート。

練習場に行くと、ピッチの上には新監督が立っていました。

新監督のもとでミーティングが開かれ、自己紹介やこれからのチームの方針などを言われた後に練習がスタート。

新監督は、ドイツ人であるため現地語を話せる通訳がついていました。

交代前の監督となら、通訳を通さずに話せることで信頼関係が築けたのですが、新監督とはドイツ語でないと直接話せないため不安が募りました。

新監督のもとで練習すること5日が経過し、再び試合の日。

スターティングメンバーを発表が始まり、メンバーに入るかどうか緊張していまいたが、自分の名前は呼ばれませんでした。

再びメンバー外の日々へ戻ってしまったのです。

ショウ
今思えば、うまくいかないことの方が多かったかも。。。

日本にいるライバルの活躍が刺激に

新監督になりメンバーから外れ、気持ち的にも向上心を保つことが難しい状況で日々練習をしていました。

そんなか、日本からあるニュースが自分の携帯に届いたのです。

日本のJリーガーで活躍しているA君が1試合で1G2Aとい結果を残したと言うニュースが届きました。

このA君とは、自分が小学から高校まで一緒にサッカーをやっていた友達で、良きライバルでもあった人です。

A君は高校卒業と同時にJリーグのチームへ入団し、僕は海外でプロ契約し切磋琢磨しあう仲でした。

そんなA君がJリーグで活躍していることを知り、このままだと差が開いてしまうと焦りを感じたのです。

ライバルの活躍を刺激に、毎日の練習で監督に猛アピールしつずけ、練習が終わってからも通訳を通して監督と話すなどして、積極的にアピールし続けました。

レギュラー奪取

新監督になってから4試合目の時、スターティングメンバーの発表でようやく自分の名前が呼ばれたのです。

嬉しいと言う気持ちはなく、むしろこのチャンスをモノにしないとまたメンバー外の生活が待っていると思いピッチに立ちました。

この時、自分が海外にきてプロデビュー戦の時のことを思い出しました。

デビュー戦は、思うようにアピールできなくて悔しい思いをしたのを思い出して、今この状況と照らし合わせたとき、新監督のもとでのデビュー戦とどこか似ている感じがしました。

今回は必ず結果を残すと意気込み、試合に臨みました。

そしてなんと、、、

自分が先制点のゴールを取ったのです。

その後も、チームメイトが点数を重ねて取ってくれたおかげもあり、無事試合に勝つことができました。

この時、地元の新聞に自分が掲載されていたのを今でも覚えています。

逆境を楽しむことが大事

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

本記事で読者の皆さんに一番伝えたことは、「逆境を楽しんでほしいこと」です。

長い人生のうちに、ピンチや逆境はたくさんあると思います。

しかし、その逆境を乗り越えたとき、逆境がくる前よりもはるかに成長している自分がいるのです。

その成長した自分に会えることを期待して、逆境を楽しめるようになってほしいと思いました。

 

 

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